2.10.2013

ゆれる波を纏うドレス




冬の ある 晴れた寒い朝

一羽の母白鳥がおりました

その羽は白く輝いていて

透きとおった水面の上にすべらせるとき

静かで美しい音楽が流れるように

水面はやさしく波立ちます


そんな波のうごきを想ったドレスをつくりました


母白鳥は深いやさしさとあたたかみを湛えた透明な眼をして

そのくちばしで我が子をそっと撫でるのです






花嫁さんの眼をのぞいていると
そんな白鳥が思い浮かびました。


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お式のときには8ヶ月の天使がお腹にいるということで
大きなお腹をカバーするように
白鳥の羽のようなやわらかなシフォンを重ねて
裾にやさしい波のような動きをつけました。

何度もアトリエに通っていただくうちに
少しずつ大きくなっていくお腹に合わせて
最後までサイズを微調整しながら進めていきました。

お腹はどんどん前に成長していたので
サイドは斜めに布が入ってくるようにして
ウエストをすっきりと見せています。

ベースのサテンのドレスが縦ラインを作ってくれるので
さらに一番気になるお腹には大きめのリボンをつけてカバーしました。
ウエストのリボンは肩と同じレース生地を使っています。

挙式では和装で、披露宴の中でドレスに替えられるということで
バックスタイルはシンプルに、フロント部分にポイントをもってきています。
レストランでのウェディングなのでトレーンもコンパクトめに。







肩のレースは取り外し可能なので2次会の際には
リボンを変えて肩のレースを外すと雰囲気ががらっと変わります。

シンプルなドレスはアクセサリーが映えますね。








この花嫁さんは仮縫いでいらしたときに
お仕事の電話がかかってきたことがあって、
その対応の仕方に、こちらがはっとするほど
素敵な方だなぁと思ったことがありました。

芯はしっかりとあるけれど、相手を受け入れて尊重する、水のようにやわらかい人。

それが本当に印象的で、そのイメージをそのままドレスにしました。
彼女の控えめだけど可愛らしい要素もプラスして。

雪のちらつくお天気にはなりましたが
それがより、パーティの温かさを
強調してくれたのではないかと思っています。

装花は春らしくて繊細なお花がいっぱい!という情報が
(お花屋さんから)入ってきたので、
お2人のまわりはもう春のような
あたたかな空気に満ちていたかもしれません。

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