4.11.2012

プレアデスの鎖


「さあ、切符をしっかり持っておいで。

 おまえはもう、夢の鉄道の中でなしに、

 ほんとうの世界やはげしい波の中を

 大股に まっすぐに 歩いていかなければいけない。

 天の川の中で たった一つの ほんとうの その切符を

 決して おまえはなくしてはいけない。」

銀河鉄道の夜/宮沢賢治/岩波文庫


銀河鉄道に乗って「一緒にどこまでも行こう」と誓い合った
カムパネルラは突然、ひとりで本当に遠くへ行ってしまいます。
取り残されて悲しみのあまり泣き出したジョバンニの前に、
ブルカニロ博士が現れます。
博士は、カムパネルラと一緒に行きたがるジョバンニに
こう言います。

「ああ、そうだ。みんながそう考える。

 けれどもいっしょに行けない。

 みんながカムパネルラだ。」

「・・・ああ、ごらん。あそこにプレアデスが見える。
 
 おまえはあのプレアデスの鎖をとかねばならない。」

プレアデスの鎖、とは旧約聖書のヨブ記の中に出て来る言葉で
天空のことわりを象徴しているそうです。

この世の中には、うれしいことや悲しいこと、様々なことがあり
わたしたちは、ほんとうには
それがどうしてそのようにして起こるのかはわかりません。
その中を、命という一枚の切符をにぎりしめて
大股に、まっすぐに、歩いていった先に
ほんとうの幸福はあるのだろう、
と、石井ゆかりさんの著書「乙女座」にありました。


人にも物事にも様々な側面があります。
1つの方向から、または近づいて見たときに見えている景色を
その対象そのものだ、と思ってしまうことは
よくあることだと思います。
角度を変えれば全然ちがう表情が見えたりして
離れてみたときにその全体像がはじめて見えたりして
そしてその意外さに驚いたり
予想外の展開に、わたしたちは
それがほんとうは「良い」ものだったんだ!とか「悪い」ものだったんだ!とかと
判断してしまうように思います。
でもきっと、それはそのモノ、あるいは人の一部でしかなくて
ほんとうに「良い」とか「悪い」の一言で決めつけられるものなんて、
そんなにないのではないかと思います。

一つの窓から外側の世界を見ているとして
その外側からの情報や、自分の中の不安や、焦りや、そういうもので
そのものごとの内包するほんとうの部分をうつす窓は
何度拭いてもまたすぐに曇ってしまいます。
それでも、何度でも拭いて、
そのありのままの姿をありのままに見つめて、受け入れて、
きっと、そういうことがプレアデスの鎖を解いていける方法なのではないかと思います。

その先にほんとうの自分や、本当の幸福がある、はず。


むー。
こんな話ばかりお付き合いさせてしまい、すいませんでした、、、
なんだか、今日のブログは自分のためのメモ書きみたいなもんです。ご容赦を。



アトリエの方では今新たに進めているプロジェクトがありますので
もうしばらくしたらここでもお知らせできるのではないかと思います!

良い夜を!



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