「きみの名前は?」
ぼくはたずねた。
ふり向くと、彼女はじっとぼくの顔をながめた。
そして、こう言ったのだ。
「名前を言っても、わたしのことが理解できるわけではないわ。」
彼女は不思議な人だった。
とても変わっているし、考え方がおもしろい。
「もちろん、そのとおりだけれど、なんらかの方法で自分であることを
証明しなくてはいけないだろう」
「うわべだけの名札をつけるのではなく、本当の自分を見せる方がいいわ」
ぼくもその意見には賛成だったが…。
「じゃどうやって本当の自分を見せるのかい?」
「こうやって」
と答えると力をこめてぼくを見つめた。
ぼくは彼女は本当に美しいと思ったが、
彼女はその後は何も言わず、視線を夜景に戻してしまった。
「ちょっと待って。まだきみの答えを聞いてないよ」
「答え?」
「本当のきみについてだよ。まだ何も言ってないよ」
「本当のわたしというのは言葉にはできないわ。だけど、もうあなたに見せたのに」
・
・
・
「仕事は何を?」
ぼくはたずねたが、大方モデルか女優に間違いないと考えていた。
「生きる、ということを」
「もちろん、だれだってそうだよ」
「みんなと同じではないわ。わたしの人生を生きているの」
−エンリケ・バリオス『ツインソウル』
こんばんは。
返信削除この詩がなんだか心にじーんときて思わずコメントしてしまいました。
いつも更新楽しみにしてます(^^)
お邪魔しました♬
私がとても好きな一節です。
返信削除ありがとうございます!