10.28.2012

textile



−何かを選択することは

 何かを選択しないことだ。

すべて分析ではなく、勇気に関わる問題である。−


    



今回はドレスをつくる上での生地への思いについて
ちょっと書きたいと思います。


もともと、衣食住に対してオーガニックという言葉に関心がありました。
否、なんとなくいいんだろうなと思っていました。


でもそれが自分の作っているドレスと直接に繋がるとはあまり思っていなく、
ただ、オーダーメイドでドレスをつくりはじめて
お客様とお話を重ねて、一着一着こころを込めてお作りするようになってから
生地を選ぶ際の基準として、見栄えがいいだけでなく
花嫁さん自身が気持ちのいいもの、
身に纏うだけでやさしい気持ちになれるもの、
そういうものを使いたいと思うようになりました。


そんな中で生地を模索していたときに、オーガニックコットンに
ついての記事を読む機会がありました。
それを読んだときに、わたしの考え方は以前とは全く違うものに変わりました。
記事をそのままペーストすればもっと分かりやすいのかも
しれませんが、わたしなりの解釈を加えた言葉で
思いが伝われば、と思うのでわたしの言葉で書かせていただきますね。




ほとんどの人がコットンのお洋服は1枚は
クローゼットに入っているのではないでしょうか。
さて、そのお洋服はどんなコットンで作られているか知っていますか?


今、農作物に使用される農薬や食べ物の添加物の危険性についての
関心がやっと少しずつ高くなってきている気がしますが
綿花も育てるときには大量の農薬や枯れ葉剤が使用されるのだそうです。

綿花ももともとは自然のものなので昔は完熟したら手で採る、という感じ
だったものが大量生産と利益追求のために
ある程度成長したら促進剤と枯葉剤を大量に飛行機でまいて
機械で摘むという農法が主流なんだそう。


今、ほんとうにどこでも安く流行のお洋服が手に入るようになりました。
1シーズン着て、飽きたらぽいっとして
次のシーズンにはまた流行の服を買えばいいのです。

わたしは完全にはファストファッションを否定出来ません。
自分自身もそれの恩恵にあずかっているところはあるから。
企業努力でコストを下げている会社もあります。
ただ、やっぱり時間をかけて、大切につくられているお洋服は
残っていって欲しいし、それが選べる自分でありたいし、
そういうものが作れる自分でありたい。

自然とも調和的でありたい。
大量生産や利益追求のためにされていることはとても不自然です。
わたしたちの日々の生活においても同じことが起こっていると思います。
まわり人との調和や、食べ物との調和、
自分自身との調和。
そういうものを大切にしたい。




また、農薬はとても高価で、かつ土地自身の力を弱めます。
そうすると次の年にはさらに強い農薬を使わないと綿花は育たなくなります。
この悪循環で発展途上国の農家は借金をして農薬を買わざるを得ない状況が
あり、そのために自殺者まで出ているのだそうです。
この事実を知ったとき、本当にショックでした。

正直、オーガニックの製品はそうでないものに比べて値段が高いので
オーガニックのものを使うとコストが上がります。
同じ金額のコットンドレスを作っても農薬を使って作られた
生地を使った方が利益は上がります。


ただ、わたしは、幸せをサポートするお仕事をしています。


だからそのために関わる人、ものについても
なにかよくないものであったり、
ましてや人の命を犠牲にして作られる生地を使ってまで
作るドレス…。
それは本当の意味で幸せをサポートするものとは言えないし
作り手も、生地を生産する側も、着てくださる花嫁さんも、
全ての人が幸せになるようなものづくりがしたいと思いました。


オーガニックの生地は着る側はもちろん気持ちがいいです。
アトピーやアレルギーのない人でも
ふんわりと優しい肌触りはこころをまあるくしてくれます。

そして、有機栽培で綿花を育てることによって
土地は豊かになるし、ゴミも少なくなったり、
農家の人は借金もしなくて済むので収入も増えます。
そして農薬を使わないので健康でいられます。

また、フェアトレードのオーガニックの商品を扱っている
会社に勤務する方はストレスが少ないとも聞きました。
正直な商品を扱っているから売る事にも誇りを持てるし
自分自身もそれを触ったり、使ったりすることで調和的になったり
するのだそうです。
みんなにやさしい、っていいですね。



こんなことを知ってから、
わたしに出来ることは、と考えたときに
できればウェディングドレスもオーガニックコットンで作れたら、
と思うようになりました。
ただ、ドレスはやはり白が人気ですし
(染色して白色の生地もあるのですが化学染料を使っていたら意味がないし、
やはりまだ種類は少ないです)
コットンはしわになりやすかったり、問題も色々あります。
オーダーで作っている以上はお客様の希望が最優先です。

ただ、生成りのドレスを着たいという方や
ナチュラルなドレスのイメージを持って来られる方などには
オーガニックコットンをオススメしたりしています。
そうでない方にも、なるべく天然繊維を。
うちのサンプルドレスなどはこれから少しずつオーガニックコットンの
ものが増やしていければいいなぁと思っていて、
選ぶ側の花嫁さん自身にもこういう事実を知っていたら
またちょっと見え方が変わるかなと思って
ここに書かせていただきました。

この秋には何着かオーガニックコットンのドレスを作らせていただきました。
そのために私もオーガニックコットンで、且つシルクのように
肌触りが滑らかで高級感のある光沢の生地をかなり探しました。
着てくださった花嫁さんがみなさん「生地が優しい」とか
「気持ちがいい」って言ってくれたのが嬉しかったな。


わたしも天然繊維以外の素材も使います。着ます。
「こうしなければならない」というのは違うと思っていて、
やわらかく、自由に、まあるく、たのしく
これからもものづくりが出来れば嬉しいなと思っています。


農業については私は全くの無知ですし、
生地についても全然勉強不足
(なので、事実と違うことを書いてたらご指摘ください。。)
ですがわたしもちょっとずつ、
これから学んでいって、わたしの手とあたまとこころを使って
一人でも多くの人の幸せのお手伝いが出来ればな、と思っています。







saya

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